つづき

数日経って、仕事にも慣れてきました。

他の従業員さんたちとも、雑談をしながら

そんなにストイックに、仕事を黙々と、、、という雰囲気の職場ではなかったので

気が楽でした。

 

慣れてくると同時に

気づいたことがありました。

ここでは、だいたい10名くらいの人が働いていたのですが

みんながみんな、ケーキ作りが大好き!というわけではない、ということ。

これは、私にとって重大な気づきでした。

わたしは、小さいころからお菓子を作るのが好きで

大好きだったから、それを仕事にしたい、と思ってケーキ屋さんで働きました。

それが普通の(?)流れだと思っていたので

そうじゃないことに、驚いたのです。

 

私が滞在していたその町は

それほど都会ではなく、

もちろん、スーパーなどひととおりのものはありますが

車がないとどこへも行けないような、そんな町でした。

なので、彼らにとってこのケーキ屋さんで働くことは

いくつかある仕事の選択肢の中のひとつ、という認識なのだと。

もちろん、みんな楽しく働いているのですが

"おうちでもよくケーキ焼くの?”と聞くと

”NO! 焼かない!” という答えだったり

”お菓子の本とか、たくさん持ってたりするの?” と聞くと

"NO! 何か作るときはネットでレシピ調べる” と。

けっこう冷めてる、笑

 

確かに、

仕事の内容はすべて分担されていて、

それぞれの人が、何担当か決まっていました。

そして、自分の担当以外のことはやらないのです。

特にお菓子を作ることが好きでなくても、

与えられた仕事を毎日繰り返しやっていると

だんだんうまくなっていくだろうし、作業も早くきれいにできるようになりますよね。

私は、しばらくの間

デコレーションケーキの”クリーム塗り"と”仕上げの花を飾る”担当になり

そこまでできたケーキは

次の”メッセージを書く"担当の人のところへ持って行き

Happy Birthday ○○、とか

書いてもらう、というかんじ。

このメッセージ書く担当の人は、めっちゃうまいです、書くのが。

そりゃそうですね、毎日書いてるんですから。

 

時々は、違う仕事もやらせてもらうことができました。

ケーキの土台となるスポンジを焼いたり、

チーズケーキ作ったり、スコーン焼いたり。

でもこれもやはり、担当が決まっていて

"スポンジ焼く" 担当の女の子は

ひたすらスポンジの生地を仕込んで、型に流して焼く、焼く、焼く、、、

焼けたら、

おつかれ~と言って帰っていきます。

 

でも、こういうやり方をしているのも

納得、なんですよね~

だって、このお店には毎週、何十台ものデコレーションケーキのオーダーが

来ていました。

そのほとんどが週末に集中していて

金、土、日は大忙しなのです。

こんなにたくさんのデコレーションケーキの注文を

こうやってこなしているのか、という

やり方をいろいろ見れて、とても勉強になりました。

 

その一方で

私が思っていたケーキ屋さんのスタイルとはちょっと違うな、、と感じるところもあり、

他のケーキ屋さんも見てみたくなりました。

そのことを友人に話し、

とりあえず、このお店でのお仕事は2週間で辞めることにして

次の受け入れ先を一緒に探してくれることになりました。

つづく!